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| Ⅰ はじめに 空中衝突防止は、航空交通管制機関とPilotの目視確認・回避によって行われていますが、航空機の下方と後方には死角があり、目視発見を遅らせたり、回避操作を遅らせたりします。 さらに、航空機の高速化に伴い、目視で発見確認してから回避方向を判断し回避動作を起こしたのでは回避しきれない可能性があります。 そこで、機上においてATCのBack UpとしてPilotに衝突の危険を知らせ、それを回避させるための機上搭載用航空機衝突防止装置(ACAS:Airbone Collision Aviodace System)の研究開発が進められることとなりました。 ACASは米国で1955年より、EROS、SECANT、AVOIDSなどのICAS(Indepenbent CAS)の研究開発が進められてきましたが、これらのSystemはすべての航空機が、同一の装置を搭載しなければならないために、導入時や普及率の低いときにはその効果は小さいものとなります。 そこで国際的に用いられている既存のATC Transponderを利用した、BCAS(Beacon Based CAS)方式の採用が決定されました。 BCASは既存のATC Transponderを使用するために、新しい装置は必要とされずに搭載機は直ちにその効果を発揮できる画期的な装置で、日本の東洋通信機㈱が開発したSystemでした。 さらに別の項でも述べたようにSSRにMode-S方式が導入されることにより、CASの相補回避指示調整のData Linkとして活用することもできるようになりました。 このBCASは、昭和53年にANAのL-1011に搭載され、性能評価試験が実施されたのを記憶されている方も多いと思います。 BCASの運用環境として、米国では航空機密度が0.02機/n㎡以下の空域で利用するとしてきましたが、現実には0.1機/n㎡以上の空域(ロサンゼルス周辺空域では0.12機/n㎡)が存在し、さらに将来、0.3機/n㎡の航空機密度まで使用できる方式としてTCAS(Traffic Alert Collision Aviodance System)がFAAより提案されました。 TCASの種類 TCASには3つのTypeがあります。(TCAS-Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ) ○ TCAS-Ⅰ 侵入機までの距離と方位を表示する Traffic Advisory のみ行います。 高度は侵入機がMode-CまたはSのTransponderを搭載している場合にだけ表示されます。 TCAS-Ⅰの目的はPilotが侵入機を視認しやすくすることです。 ○ TCAS-Ⅱ Mode-S Transponderとともに運用され、Traffic Advisory(TA)の表示と音声警告、Resorution Advisory(RA)のV/S CMDと音声警告を行います。 RAはVertical方向の回避措置(Climb/Descent)とその量を指示します。 ○ TCAS-Ⅲ 水平方向のRAも与えることのできるTCAS-Ⅱの発展型で、現在開発中です。 Ⅱ TCASの機能・原理 (1) Surveillance/Tracking Function(Target の捕捉・追跡・監視) TCAS Processorは通常1秒に1回、All Callを行います。 この質問信号を受信したMode-A/C機とMode-S機はTCAS装備機に対し高度情報をReplyします。 TCAS Processorは送信、受信の時間差から各侵入機との距離、およびDirectional Antennaを用いて侵入機の方向を求め、高度および距離の変化率は応答情報を監視することによってもとめます。 ① Mode-A/C機の捕捉 Mode-A/C機に対し質問を行う場合、SSR地上局と同じ問題の応答Garbleによる識別不能という問題がTCASにもおこります。 この現象を減少させるためにTCAS PROSESSORは自分の周囲にいる機体を分割して全方位の捕獲、追跡、監視を行います。 このためにTCASではWhisper/Shout質問、方位分割質問を行います。 ② Targrtの分割方法 Whisper/Shout質問は、ある電力Levelの質問信号を送信すると、受信機感度の偏差により応答するGroupと応答できないGroupに分割することができることを利用します。 このある電力Levelの質門信号に対する応答を受信後、TCAS Processorは質問に対して応答したすべてのTransponderを抑圧するため、質問信号と抑圧信号を組合せ、送信電力を、1dB Stepで増加させて質問を行っていきます。 こうしてATC Transponder 間の受信機感度の偏差を利用しTCAS Processorから同心円状に分割していきます。 これによって近い航空機から質問が開始されることになります。 方位分割質問(Sector:質問)は、多素子のAntennaを用いて、Antennaを機械的に回転させることなくAntenna Patternを回転させることによって、質問範囲を限定します。 この方式を用いることによって、質問時はSector内に応答機を限定し、受信時にはMode-SのMono Pulse測角で述べたように、2種類のAntenna Patternからの信号Levelの比率(電波の位相と大きさ)を用いて、電波の到来方向の決定を行います(Sectorの外は抑圧する)。 さらに、Mode-A/C機を捕捉するためのTCASの質門に対し、Mode-S機が応答しないようにしています。 この機能はMode-C Only All Callを送信することによって行われます。 ③ Mode-S機の捕獲 Mode-S機の捕獲は、電波干渉(Fluit)を無くすために、少ない質問で行われます。 TCASは、1秒間に1回、Mode-Sが発するSquitter Pulseを受信すると、自動的に質問を開始します。 また、TCAS Procesorは地上局の質問や、他のProcessorの質門によってMode-Sが応答したMode-S応答を受信することによって近くの航空機の高度を判定します。 もし、高度情報が短時間内に受信できないとき、Processorは高度情報を得るために質問を開始します。 Processorは検出したMode-S機の高度を求め、自機と侵入機の高度を比較し、必要があればその航空機に対し距離を求めるために質問を開始します。 その結果、得られた距離から衝突の危険があるか、もしくはその危険性は予測された場合、TCASはその航空機に対しRoll Call質問を規則的に行います。 Roll Call 質問(個別質問)により取得したその航空機のTrack DataはThreat Detectionに送られます。 また、その侵入機が遠い距離にある場合は、衝突の危険性があるものの、脅威となっていない侵入機は"DORMANT"(潜伏)と呼ばれます。 ④ 電波干渉制限 このような受動的(Passive)な侵入機Dataの収集や、侵入機の高度によって、質問を開始するAltitude Filteringや、侵入機の脅威度によって質問回数を決める"DORMANT"などによって、TCASに必要なMode-S質問の数を減少させることができます。 また、TCASのBroadcast Message(10秒に1回発射される)や、Mode-S Squitter(1秒間に1回発射される)などから判明する機体周辺のMode-S Tranponderや、TCAS Processorの密度や数によってもMode-S質問は制限されます。 こうした制限は電波干渉制限(Interfarence Limiting)と呼ばれています。 特に1秒に1回の一斉呼び出し方式をとるMode-A/C機を検知する場合には、上述のように、Sector質問やWhisper/Shout方式をとっています。 この機能はATC Transponderの抑圧機能を多用しているので、TCAS導入によって質問数と応答数および抑圧数の大幅な増加が予想されます。 このためICAOでは『ACASの動作によってTransponderは2%以上の時間、非動作にならないこと、およびACAS装置は許容できないほど高いFluit-Rateを地上SSR局に誘発しないこと』を要求しています。 TCASではこれらの対策として、1機あたりの放射電力に制限を加えることでFluitを防止し、質問数を減少させることでTransponderの非動作を減少させることとしています。 (2) Threat Detectoin(脅威検出) TCASのすべての動作は1秒間に1回の繰り返しCycleで動作します。 TCASは各Cycleの開始での質問・応答によって、捕捉。追跡・監視を開始し、すべての侵入機のTrackをUpdateするとともに各侵入機の距離、距離変化率、および低精度の方位測定を行います。 次にTCASは自機の周囲に保護空域を設定し、侵入機の距離変化・高度変化を追跡・監視します。 この追跡監視中にTCASは侵入機を、 ●Non-Threat ●Proximity ●Traffic Advisory ●Resolition Advisory に識別します(ちなみにANAにて装備したProcessorは45機の侵入機の追跡・監視が可能です。 Displayは41機まで可能)。 TCASは侵入機が予測した最接近点(CPA:Closest Point of Approach)においても、さらに距離が接近し、高度差が少なくなる、つまり、保護空域を侵すと予想すれば、侵入機を脅威機と判断します。 また、初めて捕捉した時にすでに保護空域を侵していた場合に備えて、脅威機との判定は現在の距離と高度さが少ない事でも行われます。 この保護空域を侵すまでの時間のことをτ=TAU=衝突までの余裕時間と呼んでいます。 一方、脅威機の判定基準(保護空域)は一定ではありません。これはTerminal空域など高密度にも影響を及ぼします。 また、Terminal空域などでは、航空機のSpeedも小さく保護空域も航空路などに比べて小さくてすみます。 このため、TCASは脅威検出機Threshold(保護空域の大きさなど)を変化させ、TCASの動作全体をControlします。 これを脅威検出の感度Level制御と呼び、 ① Pilotによる手動設定 ② BARO AltとR/Altにもとづく自動設定 ③ Mode-S地上局からの地対空Data Link による設定 が用意されています。 (現在は②だけ)。 (3) RA Selection(脅威回避) 侵入機が保護空域を侵すと判断され、脅威機と判断されると、TCASはResolution Advisoryを行います。 Resolution Advisoryは、次の2つのStepで行われます。 1つはResolution Advisoryの方向を決定するStepです。 侵入機がTCAS(Mode-S)を装備している場合、脅威機と判断した時点でData Linkを介し侵入機に対し、既にRAを決定しているかを質問します。 決定していれば脅威機と反対の方向を選択します。 侵入機がTCAS(Mode-S)を装備していない場合、TCASはRAに従って、TCAS装備機が上昇または下降の回避操作を行った場合、侵入機との距離が再接近点(CPA)において、大きくなる方向を予測し選択します。 この予測は侵入機が現在のTrackつまり距離、高度の変化率を維持してこのまま飛行する、TCAS装備機はPilotがRAに従って回避操作を始めて1,500fpmで上昇、または下降を継続しCPAに達するというModelを使用します。 この予想計算のなかには、PilotがRAにしたがって回避操作を開始するまでの反応遅延時間(5Sec)、および、機体が回避操作に反応するまでの時間を含んでいます。 次のStepはResolution Advisoryの強さ、大きさを決定するStepです。 大きさの選択は上述のModel化された両機の運動によって判定した、CPAにおける侵入機とTCAS機との垂直間隔によって行われます。 その大きさは、 ○ Advisoryは最接近点(CPA)において、規定された最小予測垂直間隔(ALIM)を確保できるものであること。 ○ AdvisoryはTCAS機のVertical Trackにおける変化率の最小となるもの。 という2つの条件を満たすものとなります。 ここで気をつけて欲しいのは、RAの判定は侵入機、TCAS機のどちらかでも運動を変化させた場合、RAの量が変化するということです。 (4)Coordination Function(調整機能) TCASはMode-S Transponderを使用しData Link回線を設定し空対空、地対空の通信を行っています。 この通信ではTCAS(Mode-S)装備機同士の遭遇時のRAの方向を調整するための空対空通信、ATCへのRAの報告をする地対空通信を行います。 (5)Inhibit TCAS ある条件で全部、もしくは一部の機能がInhibitされます。 詳細はM/M、TSIなどを参照して下さい。(この項の条件、数字はICAOの技術基準からの引用です)。 ① GPWSまたはWind Shear Systemが動作中 ② R/ALTのALTが 400ftまではTCASのAural Alert はInhibitされる。 500ftまではすべてのRAはInhibitされる。 700ftまではDescentのRAはInhibitされる。 1,800ftまではIncrease Descent のRAはInhibitされる。 ③ Climb または Increase ClimbのRAは設定したBaro Alt以上ではInhibitされる。 などがあります。 |
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